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金剛山赤不動明王院、慈福のブログです。 學びを深めるため永作優三輝師僧の許可を得てリブログしています

by 慈福

密教973 諸国行脚


密教973 諸国行脚

修行時代にある田舎道を歩いて居た時の事、その日は寒い日でした。
昼食に用意して居た握り飯を食べ様としたときに、土地のお年寄りに声を掛けられた。
お坊様、外は寒いので家の中で食べなされと声を頂き、私は有難く御好意に甘えさせて頂きました。
そして暖かい味噌汁までご馳走になり昼食も済ませたので丁重にお礼を言い立ち去ろうとすると、ご老人は言われました。
少しの時間、儂の話しを聞いては貰えまいかと言われるので、急ぐ旅でも無い身、お話しを伺う事にしました。

ご老人は、息急き切った様に若い頃の話し、結婚した頃の話し、家族との思い出話しを笑いと涙で語られる様子を伺い、私は旅立つ事が出来ませんでした。
氣づ付けば日は暮れ外は、漆黒の夜空、ご老人が泊まって下されとお勧め頂いたので、私は好意に甘える事に致しました。
夕食は、二人で作り、私の心は他界した父と二人で居る様な親しみを束の間、感じて居りました。
夜は更けてもご老人は、時を惜しむ様に語られ楽しそうで、私も嬉しく成りました。

そして一夜の宿を賜わり、夜が更けるまで語りました。
明け方ただならぬ気配を感じ眼を覚ました時、ご老人は他界して居たのである。
私はご近所の方の家で電話をお借りし救急車を頼みました。しかしご老人が息を吹き返す事は、有りませんでした。
ご老人の顔は、安らかで微笑を浮かべた様でした。
それから通夜、葬式を村の方々と協力してさせて頂きました。
今、思えば私の来訪を待って居てくださったのだと思います。私は偉い者では無い。
しかし寄り添う気持ちは、忘れた事は無い、我が命が続く限りこの気持ちは、変わらない。

南無大日大聖不動明王尊
蓮華合掌
金剛山赤不動明王院
院主永作優三輝


話を聞いてくれる人がいる。
嬉しいことです。
亡くなる前に想い出話を聞いてくれる人がいたことは、嬉しかったのではないでしょうか...

相手のために何も出来なくても、謙虚な気持ちで他者と寄り添う気持ちは忘れないようにしたいと思います。
読んでいただきありがとうございます
慈福


by fudou8jifuku28 | 2019-01-01 06:00 | 赤不動明王院便り | Comments(0)